魔法少女マジカル☆りぐるん

真っ黒な世界。
どこからか声が聞こえる。

「命を失いし者よ、力が欲しいか」


……。


「その身をもってもう一度だけ生き返る力が欲しいか」


あー。
ただより高いものはないって話だけど。
貰えるものは貰う性分だし。
お願いします。

声は、急に明るくなった。


「了解した。さあ、リグル・ナイトバグよ。
魔法少女として華麗に生まれ変わるのです!」

これって、あのさあ……。
どちらかというと、敵役の生まれ変わり方じゃないか。

ああ、眠い。

私は、意識を手放した。



全身に感じる違和感で目を覚ますと、真っ白な天井が目に飛び込んできた。
どうやら、ここは病院かどこかであるようだ。
顔を少し動かして、自らの腕を眺めてみる。
違和感の正体は、全身につながれたチューブであるようだ。
痛む体を力を込めて起こす。

「あ!目覚めたのね」

声の方向を見ると、一人の白衣を着た女性が視界へと飛び込んできた。
彼女は、読んでいた資料を机の上に置いた。

「いやー、幻想郷にやってきて始めての実験だったけど。
無事に成功したみたいでよかった。体の調子はいかが?」
「少し体が重いですけど、別に問題ないです」

女性はうんうんと満足そうに頷くと、
私のほうに近寄ってきて、私の全身についているチューブを丁寧にはずした。
そして、私の手首を1分間ほど握ってから自らの机へと戻った。

「ふむ、脈は問題なし。体温も正常、と」

調査書のようなものに色々と書き込む女性に、
私は質問をぶつけてみた。

「あたなは、何者なんですか?」
「よくぞ聞いてくれました。私は、岡崎夢美。
科学と魔法の融合を目指す科学者よ」
「なんで私を魔法少女なんかに改造しようと」
「いや、たまたま海に浮いてるのを見つけたから。
回収したらぎりぎり生命力が残ってる感じだったし。
一応同意も取ったわよね?」

私は、こくりと頷いた。
確かに同意といえば同意か、魔法少女にはふさわしくなかったけど。
しかし、海に浮いていた、ということか。
一体どんな理由で海に私の体が投げ出されていたかは全く思い出せない。
いわゆるショックによる記憶喪失と言う奴であろうか。

「あら、何故海に浮いていたかですって?
私は別に知らないわよ。その内思い出すんじゃない?」
「まあ、別に構わないのですけど。
ていうか、そもそも魔法少女ではなく普通に治療するという方法は無かったのですか」
「だって私は医者じゃないし。魔法少女って響きがいいじゃない!」

私は、大きなため息を付いた。
なんというか、素晴らしく常識が通用しない人だ。
この幻想郷で常識を求めるのは酷という物かもしれないが。
教授は、聞いてもいないのに語り続けた。

「命を失いかけていたところを拾われて、
改造されて魔法少女として生まれ変わる少女!
なんと甘美な響きであろうか!」
「いや、それって魔法少女じゃないですよね」

それは○○○ダーとか○○○○ダーとかの特撮側である。
番組放送時間が30分ほどずれてる。

「さて、とりあえず変身の仕方を教えましょうか。
『まじかるりりかるりぐるんるん、変身!』って言ってね」
「えっと、えっと、もっと恥ずかしくないセリフは無いんですか」

それ言うと色々と人生が終わりそうな気がする。

「うるせー!うじゃうじゃ言わずに変身しろー!」
「いや、変身したくないわけじゃないですけど、
そのセリフで変身するのは非常に恥ずかしいから!
ていうかもっとましなセリフは無かったんですか!」
「私が外の世界から持ち込んだ知識を馬鹿にするの?
こういうのは奇をてらわずに王道がいいのよ」

私は、10分ほど口角を飛ばして議論し続けたが、
ついに折れて(主に心が)、変身することにした。
私は、ベッドから起き上がり床へと立った。
そして、息を大きく吸い込んでから言った。

「まじかるりりかるりぐるんるん、変身!」

突然私の全身が光へと包まれた。
私の全身の服が破けて、光の粒子へと変換される。
その粒子が少しずつ形を成していき、私の衣装を作り上げた。
この間僅か0.5秒。
次の瞬間には、私は魔法少女の姿でそこに立っていた。
目の前にいつの間にか用意されていた鏡を見てみる。
突っ込みどころは2つ。

「なんで上半身裸なんですか?」
「露出の高さがエロさに繋がるのです」
「わかりました、それは許します。
それじゃ、なんで肉棒が私の股間から生えているのですか?」

股間に感じる独特の違和感。
変身前には無かったソレが私の股間で自己主張していた。
教授は、照れ笑いをしながら答えた。

「趣味です☆」

私は、思い切り蹴りを繰り出した。
なるほど、蹴りのキレも一段と上がっている。
これが魔法少女の力なのであろう。
教授の体は、盛大に壁へと叩きつけられた。


霧雨魔理沙は、焦っていた。
新しい魔法が、どうしてもうまくいかない。
それだけが彼女の心を重く苦しめていた。
彼女は、もう一度理論を見直してみて、術に間違いが無いかを確認し、
実験を繰り返したが、成功することは無かった。

「ちくしょう、どうして上手くいかないんだよ」

嫌気が差して、八卦炉を床へと叩きつける。
そして、逃げ出すようにベッドへと倒れこんだ。

『どうして、努力を続けてるんだ?』

心の中の自分自身が魔理沙へと語りかける。

「私は、いつかあいつらを超えたいんだよ。
人間として、魔法使いとして」
『殺せよ。
殺せばお前のほうが上じゃないか』
「そんなことできるわけないだろう!」
『結局お前は人間である以上、
あいつらとは同じフィールドに立つことはできないんだよ』
「うるさい、うるさい!」
『さあ、魔法なんかよりもっと良い力があるんだよ。
それに身を任せてしまえよ、私が案内してやるぜ』

心の中の黒い影が、魔理沙の体を少しずつ支配していった。

「ふう、やっと乗っ取れたぜ。
あーあー、テストテスト、俺は霧雨魔理沙だぜ。
うん、問題ないな」

その「霧雨魔理沙」は、一つ伸びをすると玄関から外へと出て行った。

「さて、こいつの願いをかなえてやるかな。俺からのせめてものお礼と言う奴だぜ」


「せめてこのちんこだけでも切り取ってくださいよ!」
「おちんちんが嫌いな女の子なんていません!」
「いや、それはちんこ付けたいって意味ではないでしょう!?」
「ちなみに射精すると変身が解けます」
「何ですかそれ!めっちゃ弱点じゃないですか」
「触手に襲われた挙句に『らめぇ……変身解けちゃうよう……』
と責められるまじかる☆りぐるんのエッチな画像を希望します」
「そんな生々しい妄想やめて!」

そんな会話の矢先に、私の触覚がキラキラと光りだした。

「あれ、なんか光りだしたんですけど」
「おっと、そいつはこの近くで血が流れたことを示すための合図。
つまり、魔法少女の出番と言うわけ」
「なるほど」
「さあ行くのです、まじかる☆りぐるん。幻想郷の平和のために」
「いや……よく考えたら私が平和のために戦う理由って無くないですか」

私がそう突っ込むと教授は黙り込んだ。
今までとは一転して、急に深刻な表情で教授は語る。

「……まあ、それもそうね。強制はしないよ」
「じゃあ、別に戦わなくてもいいんですか」
「ただし、その触覚が光り続けるのを黙ってみていられるなら、ね」

「……わかりましたよ」

私は、出入り口のドアへと歩き出した。

「そーだ。ちなみにこの建物はステルス状態だから他の人には見えないよ。
変身状態なら見えるようにしてるけど」
「それでは、行ってきます」

私は、ドアを開けた。
空が眩しい。
私は、触覚が私に伝える方向へと飛び立った。


「あら、いらっしゃい魔理沙
「ああ、遊びに来たぜ」
「何の用?」
「ん、なんというかな」

霧雨魔理沙は、八卦炉を霊夢へと一瞬でかざし、
そこから高出力のエネルギーを発射した。
霊夢の体が、神社を突き抜けて反対側へと吹き飛んだ。

「お前が憎らしくてさあ」

彼女は、崩壊した神社を歩きながら霊夢のほうへと向かう。
反対側の境内に、霊夢は倒れていた。

「どう……して」
「ごめんな霊夢。私はこうでもしないとお前を超えられないんだよ」

霊夢は、火傷の傷が痛々しく残る頬に一筋の涙を流した。

「さて、その痛々しい姿じゃかわいそうだから、そろそろ殺してやる」

魔理沙は、手に持っていたバッグから包丁を取り出した。
丁寧に刃こぼれが無いかを確かめ、霊夢の胸の上へと振りかざす。

「あばよ、霊夢

振り下ろそうとした、その瞬間。

「そこまでよ、悪党!」

一人のはしたない姿をした魔法少女が、博麗神社へと降り立った。
霧雨魔理沙が、振り向いて笑いながら言う。

「おっと、リグルじゃないか。どうしたんだよそんなはしたない格好をして」
「はしたない格好って言うな。魔法少女の正装よ」
「ははははは!魔法少女なんて傑作だな。
で、どうするんだ。ここで私を殺すのか?」
「さあね。説得に応じないならそうさせて貰おうかしら」
「ああ、悪いが応じる気は無い」

そう言って、八卦炉をかざした魔理沙の手に、リグルが蹴りを入れた。
べきっ、という心地よい音を立てて魔理沙の手の骨が粉々になった。
魔理沙は思わず八卦炉を落とし、地面へと転がった。

「ぐあああああああ!痛い、ちくしょう。
そんな武等派の魔法少女があるかよ!」
「仕方ないじゃない。魔法を習ってないのだもの」
「ああああああああああ、糞が!だから俺は人間なんかに乗り移りたくは無かったんだ。
やっぱり人間は脆すぎるんだ!もういい、今日のところはここで撤退してやるよ!」

そう言うと、魔理沙の中から黒い何かが抜け出して、大気中へと四散した。
魔理沙の体が、その場へと倒れこむ。

「ふう、悪は去ったわね。とりあえず、この場の後処理をどうしようかしら。
ステッキを振ったら、きらきらーとか言って怪我が治るわけでもなさそうだしね」

リグルは、二人の少女を抱えて永遠亭へと向かって飛んでいった。


「目が覚めた?魔理沙

私が目を覚ますと、アリスが林檎を剥いていた。
どうやら、ここは病院であるらしい。

「ん、どうして私はこんなところに寝ているんだ」

私がそう言うと、アリスは俯いて黙ってしまった。
私は、そんなアリスの態度が気になったので、しつこく問いただしてみた。
すると、アリスは「魔理沙、今から私の言うことは本当だけど、絶対に驚かないでね」とお決まりの前置きをして語りだした。

「うそ……だろ」
「本当よ。本当だけど、あなたは悪くないわ」
「なあ、嘘だといってくれよアリス」
「私だって信じたくないわよ!
でも、霊夢は生きているしあなたも無事だった、それでいいじゃない!」

私は、いつの間にか涙を流していた。
そして、自らの弱さが悔しくなって拳をベッドへと叩き付けた。

「とりあえず魔理沙。誰かにあんたが目覚めたことを伝えてくるから」

アリスはそう言って、部屋から出て行った。
私は、何度も何度も拳を叩き付けた、そして。


霧雨魔理沙さん。気分はいかが――」

えいりんのかおがおどろきにゆがむ。
そして、いっしゅんあとにひめいがひびきわたる
あわててはいってきたありすのかおがあおくそまる。
そして、わたしのもとへとかけよって、なにかをいっている。
すこしずつかんかくのすいっちがきれていってる。
そのせいでなにをいってるかよくきこえない。
すこしずつしかいもしろくなっていく。
ごめんなさいありす。
ごめんなさいれいむ。
ごめんなさいみんな。

割りと色んな人から褒められた奴(元タイトル忘れた)

私は、走っている。
いや、正確に言うと逃げている。
私は、見てしまったのだ。
そう、私が、私自身が追いかけてきている。
人里での買い物を終えて、家に帰る途中の道。
急に、目の前に私が現れた。

「だ、誰!?」

その「私」はにやりと笑って答えた。

「私よ、アリス・マーガトロイド

「自らのドッペルゲンガーに出会ったものは死ぬ」
そんな言い伝えが頭の中をぐるぐると駆け巡り、私はいつの間にか駆け出していた。
逃げ続けたところで、意味があるとは思えない。
しかし、逃げないと死ぬ。そんな不安が私を襲う。
どうも、向こうの速度は私と同じようで、
このまま走り続ければ、先に私のほうが家に着く。
私は、10分ほど走り続け、我が家へと逃げ込んだ。

さっと扉を閉め、鍵を掛ける。
さらに、緊急避難用の魔法陣を展開させて、人形を自らの周りへと集める。
しばらく間があって、どんどんどんと扉が叩かれる。

「早く出てきて頂戴よ、アリス……の偽者さん。
私こそが本物のアリス・マーガトロイドなんだから」
「何を言ってるの、私が本物のアリス・マーガトロイドよ!?」

私のその言葉が笑い話か何かであるかのように、
そいつはけたけたと高笑いを上げる。

「ねえ私、霧雨魔理沙のことは好きかしら?」
「……何の話よ」

なぜ、ここで霧雨魔理沙のことが話題に上るのだ。
永夜異変の時は、確かにパートナーとして異変解決に挑んだ。
しかし、別に特別な感情を持っているわけではない。
むしろ、勝手に魔道書を借りられて少し迷惑しているぐらいであった。
私は、扉の向こうのそいつへと答える。

「別に、ただの魔法使い仲間よ」
「その言葉を待っていたわ」

そいつのその言葉には、今までとは違う何かが、
言うなれば、冷たさとか残虐さとか言われる何かが含まれていた。

「はは残念ねアリスさん。
残念ながら『皆さん』が求めている『アリス』はそれじゃあないの」

そいつは、まるで亡霊か何かのように、扉をすり抜けてこちら側へと入ってきた。
勝ち誇った笑顔で語るそいつは、もはや狂気の象徴のようだった。

アリス・マーガトロイドは、霧雨魔理沙が大好きで、
魔理沙を奪うためにはどんなことでも、たとえ誰もが眉を潜める、
いわゆる変態的な手段であっても選ばずに使う存在のはずよ。
それが『ただの魔法使い仲間』なんて答えるなんて……。
あなたは、本当に『アリス・マーガトロイド』なのかしら?」

わからない。何を言っているのわからない。考えたくも無い。
霧雨魔理沙を?奪うためには?手段を選ばない?
変態的な方法でも?
わからない。そんなことは考えたこともない。
悪い冗談だ。そうだこれは夢なのだ。

「いつも、孤独を紛らわしたくて、そのために誰かを求めている。
その割には、かなり平気で自分の恋の障害をあらゆる手段で取り除く。
本当に、本当に私は駄目だわ」

私は、首を振って呟く。

「夢なら覚めてよ」

だが、何度首を振ろうとも、何度頬を抓ろうとも、
目の前のそいつは消えなかった。

「残念ね、私の忠告が受け入れられないなんて。 
ならば、しょうがない。あなたのためにも私が代わってあげるわ」

そう呟いて、そいつは私の中に入っていった。
私は、つま先から少しずつそいつの色へと染められていった。
薄れ行く意識の中で、私はこれは夢に違いないと思い続けていた。




「全員、そろったようね」
「おう、俺の方もこっちもちゃんと"終わった"ぜ」
「まったく、苦労しましたわ」
「うー!うー!」
「僕のほうも終わったよ」

次々に集まっていく影。
それは、みんながよく知っている人物で。
それでいて、誰もが知らないようなカタチをしていた。

アリス「読者の皆さんちょおおおおっといいですかぁ?」

ああ……見てえ、アリスの恥ずかしいところ、もうこんなにグチョグチョになってるよお……。
もう我慢できな……あれ、違う?今日はエロの撮影ではない?
え、せっかく読者がズボンを脱ぎ始めた所で止めちゃうんですか。
上の一行ちょっとを読んで「よーし精子だすぞー」とか考えてた人はどうなるんですか?
なんか「え、これ違うのかよ」みたいな賢者タイムを先取りするハメになったみたいですね。
まあ私もあんな恥ずかしい台詞を言わされたのでここはお互い様と言うことにしましょう。
ええっと、エロじゃなかったらなんなんですか?いや、違いますって。
私エロの帝王とかじゃないですから、そんな汚いメスブタを見るような目でもっと見てええええええ!
じゃなくて見ないで、そんな目で私を見ないで!
えーっと、で本題は何なんだったっけ。
産廃の人気者の可愛い可愛いゴミクズのアリスちゃん(暗黒微笑)として、
産廃の読者様に何か一言お願いします」?
ていうかこれあれじゃない、ぶっちゃけ作者の独り言の形だと、
利用規約に抵触して読者の方々にボコボコにされるから私を喋らせてるだけでしょ?
いや、確かに私は産廃の帝王のアリスちゃんの自身はあるけどね!
その利用規約だっけ、「気に入らない作品には容赦するな」って書いてあるから、
読者の方に「ここ気に入らないし!」とか思われたらコメントで出てくるわけね。
まあ月だと無言で匿名十点が入るレベルの不快の閾値で長文でコメントで叩くやつが出てくるわけ。
だからよ、だからこんな作品は真っ先にコメントで炎上する運命だと思うのよ。
コメント炎上するよ?ゆ虐がどうのこうの言う人とか、○○よりつまらん、とか
産廃の奴らは東方の愛が無い、みたないこと言うやつがどんどん沸いてくるよ?
……あーはいはいわかりましたよ。そこまでして私を語らせたいわけね。
まあいいわ、どうせ文句言われるのは脚本のあいつでしょ?少年……ロボだっけ。
エキセントリックって付けたらなんかそれっぽいわね。
えーきせんとりっくしょーねんろぼー!……なーんか弱そう。
絶対朝の9時ぐらいの一番誰も見なさそうな時間にファミリー劇場で放映されて、
なんだか他の大御所番組が逆に輝いて見える。これは確定的に明らか。
えーっと、これが脚本ね。……えー、これどういうこと?
脚本と言うか構成メモじゃないのこれ、頭の中を書き出しただけじゃない?
これでどうやって一本のSSにするつもりだったのかしら、ていうか実質私に丸投げかよ。
いやさ、ラジオだったら「えー、ここで読者の皆さんのお便りを」とか言って、
季節の話題とか恋の話題でどうでもいい時間つぶしができるわけじゃない?
「ではいきなりアリスちゃんのAV男優の物真似コーナー!」みたいな感じで、
突発的にDJの趣味を混ぜることも出来るわけじゃない。
だけど、だけどよ、これ一本のSSでしょうが。
そんないきなりシリアスの場面の途中にいきなりAV男優の物真似とか混じったら困るじゃない。

「アリス」
魔理沙は、月を見上げていた顔をこちらに向けて私の顔をじっと見つめた。
「アリス、私はお前のことが好きだ。一緒に居てくれないか」
アリスは、少し顔を赤らめたが、すぐに頷いて答えた。
「ええ、良いわよ。……ずっと一緒に居ましょうね」
魔理沙はにっこりと笑ってアリスの手を握った。
(ここでいきなりアリスちゃんのAV男優の物真似コーナー!)
「(40代のおじさんの声で)魔理沙ちゃん。オナニーの経験とかはあるのかな?」
「えっ……あります……」

こんなんなったら最悪じゃない。
「やったーアリマリの成立だー!アリマリは人生!」とか読者が、
急に私が渋い声出しながら「じゃあ……やってみようか」とか言い出したら嫌じゃない。
生々しいというかドン引きするわよ普通。
いや、でもね。ぶっちゃけこういう作品が「アリ」だったと思うのよ産廃
そりゃまあ、並外れてエロチックで並外れてグロテスクな作品も多かったけどさあ、
なんというか本当に何でもありだったのよ。
ファミレスで知り合いと産廃について激論するSSとか、
知り合いの従兄弟がアリスに似てるからって質問攻めにするSSとか、
自分の嫁を殺した作者を盛大に殺し返す(!)SSとかさー、ほんとになんでもありだった。
そして、それをなんだかんだ言って読者のほうも面白がってたわけ、わかる?
いやまあ、私のガンギマリさんの第一印象は「なんだこれ?」だったわけだし。
グロとかエロとか期待して読んでたら「なんだこれ?」だったわ。
でも、「産廃だからまあこんなのもあるわよねー」ぐらいの勢いで読んでたら逆に面白くなってきたわ。
しかし、最近ではガンギマリさんのSSを「おかしい」と言って叩いてた人がいてびっくりしたわ。
評価されてるもん叩いて優越感に浸るぐらいならモグラでも叩いてなさいな。
ていうかぶっちゃけそんなん叩いて楽しいのだったら私だって、
サルバトーレ・ダリとか引っ張り出して「こんなぐしゃぐしゃなデッサンの絵が評価されるのはおかしい!」とか言えばいいのかしら。
話がそれた、ごめんね。
そもそもね、グロ苦手な人とかスカ苦手な人でも産廃でやっていけるのって、「自分の理解できないものに目を瞑る」事が出来る人ばかりだからと思うわけ。
だってそうでしょ?いちいちスカトロ書くたびに「スカトロなんて気持ちの悪いものが投稿されるのはおかしい!」とか言ってる人いないわけじゃない。
それがなんでスカトロの部分に「ナンセンス」とか「内輪ネタ」は入らないのか、って疑問に思うわけ。
産廃見学」だって見たこと無い作者さんの一面をきっちり切り出して面白いといわれてたはずなのに、
再投稿されればいきなり「内輪ネタは投稿するな」みたいな空気になってコメントが消えてるじゃない。
そういうのって、間違ってると思うわけ。まあちょっとだけ自戒をさせてもらえるなら、とある人の初投稿にかなり叩きを入れたぐらいかしら。
今ではかなり反省してる。というか考え方が変わった。「受け取る側の私が産廃の空気を作らなければならない」と。
本当に、本当に一部の「お客様」が「俺の望む産廃はこうあるべきだ!それ以外の作品は要らない!」という考えを吐くせいで、
何人かの作者さんが自らを追い詰めてしまうという結果になってしまったわ。
だけどそれは本当に「良い」ことなのか?というのをとりあえず考えて欲しいわけ。わかる?
ぶっちゃけ私はずーっと「産廃は他人の路上でのオナニーを生暖かく見守る場所」と考えてるわけ。
だから、それを見て「おもしれー」と思ったり「感動した」とか「かっこいい!」とか思うのが産廃の読者として正しい姿と思うわけ。
「てめえの汚いオナニーなんかみたくねえよ!さっさと消えろ」とかいきなり言う出す奴がいたら冷めるでしょ?
しかも自分からSSへのリンクをクリックして自分の意思で最後まで読んでおいて、だからこれは笑える。
読まなきゃ批判できねえだろ!という意見はごもっとも、だけど、わざわざ言ったところでオナニーがカッコよくなるか言えば、ねえ。
せいぜい見やすいオナニーになる程度じゃないかしら、うん。
えーっと、こんなもんでいいかしら?ちゃんとギャラは出るのよね?うん、それなら良し。
次の撮影の予定は何?……え、「アリスが100本の触手から攻められて絶頂しまくるSS」、だと……。
さすが産廃、次の予定も中々ハードね。私もがんばらなくちゃ、うん。
なんか愚痴多くなっちゃったけど、文学として崇められてる「枕草子」とか「徒然草」もそんなもんだから、まあ人の性と言うことで。
では、また次の誰かのSSで出会いましょう。私はどんな酷い目に合ってるか知らないけどね。

それはそれとして

 「おねーちゃん」
 ふと、こいしの声がかかってさとりは本を閉じて振り返ろうと体をひねった。その寸前に、突如として顔の横を細くて白い手が通り抜け、それがさとりの胸の真ん中で絡まった。ふと、こいしが普段使っているシャンプーのやわらかな香りが漂ってきた。
 「何?」
 さとりは自分の胸の前で結ばれた手の甲に自分の手を置いて尋ねる。少し間をおいてから、こいしが耳元で囁いた。
 「エッチしない?」
 ぞくり、と背中をむずがゆい感覚が駆け抜けて行く。心臓の鼓動が徐々に早くなっていくのが分かり、それを悟られないようにこいしの手をつかんで胸から離した。
 耳元には、こいしの小さな口から漏れる吐息がかかる。それだけで、さとりの頬は紅潮していた。それに気がついて、こいしは彼女の背後で笑う。
 「ありゃ、真っ赤になっちゃった。お姉ちゃん恥ずかしいの?」
 「あ、う、違うわ、貴方が耳に息吹きかけるからくすぐったいのよ」
 「嘘ね」
 さとりが掴んだ手を振り払って

 もうめんどくせぇコレくらいで参考になっただろ


 おぎがんばれ
 エロ書いて夜伽に投稿するんだ

なんかあやめさんにめっちゃ絶賛されたと思う奴

死を目前にした人間は2種類いるらしい。
一つは、死ぬまでを楽しもうとする人間。
もう一つは、死を受け入れる人間。
どちらがいいのかなんて知らないが、
一番は死なないことなんだと思う。

午後六時半過ぎ、俺はとある廃屋の前に立っている。
背後には、一人の少女。
何をするかって、言うまでもなく『仕事』をするためだ。
「えっと、ここで合ってるのかな?」
俺は、背後で怯えてる少女に問いかける。
「はい・・・合ってます」
死にそうな声で返事をされた。
こっちまで死にそうになるっつーの。
「でも・・・本当に大丈夫なんですか?
奴を追い払ってくれるんですよね」
またまた死にそうな声で質問された。
俺は、それを振り払うように陽気に答えた。
「ええ、もちろん大丈夫です」

さて、そろそろ俺の仕事について説明しなければなるまい。
俺の仕事というのは、簡単に言うと幽霊退治である。
といっても、漫画やアニメで見るような派手なものではなく、
説得して追い払う結構地味なものである。
万が一説得に応じない場合は暴力に訴えかけることもあるが、
そうなることは稀だ。

「え、そんな簡単に追い払えるものなんですか?」
この死にそうな少女に説明した際、こんなことを言われた。
結構よくある質問である。
なぜこんな質問がでるのかといえば、
人々の幽霊に対する認識が間違ってるためである。
幽霊は、本来なりたくてなってるわけではないのだ。
幽霊に目を付けられてしまった魂が幽霊になるだけである。
言うなれば道連れである。
しかし、目をつけられたやつにも原因はあるのだ。
幽霊は、自身をしっかり保ってない不安定な魂にしか目をつけないからだ。
要は、地に足をつけて生きましょうってことだ。

さて、目の前の仕事に話を戻そう。
どうやらこの廃屋に悪霊がいて、夜な夜なけたたましい叫び声をあげ、
周囲の住人を困らせているらしい。
それだけならよかったのだが、
この少女の家に『遊びに来る』らしいのだ。
やむを得ず、俺に頼むことになったらしい。
なぜこの少女の家かってのは大体予想がつく。
どうも、この少女の魂が相当なものらしい。
とある事情でも俺にもよく判別かつく。
なんというか、オーラが見えるのだ。
死にそうな外見とは裏腹に、この少女は
満月のように神々しく銀色に輝いている。
そりゃあ、欲しくもなるよな。

「さて、そろそろ退治しますんでここで待っててください」
俺は、できるだけ安心させるように言った。
少女が答える。
「はい、わかりました。幸運を祈ります」


俺は、今にも壊れそうな引き戸を開けて中に入った。
その瞬間、俺は戦慄した。
他に言い表す言葉が見つからない。
これは、まぎれもない恐怖だ。
外と中とで、春と冬ほどの温度差があった。
「話はしっかりと聞いていたわ。私を退治しに来たらしいわね」
急に上から声がした。
しかし、このぐらいで悲鳴をあげるほど俺は落ちぶれちゃあいない。
「ふん、そのつもりさ」
まあ少しは驚いたが、慣れればなんてことない。
「さあ、アンタには消えてもらおうか」
精一杯の大声で叫んだ。
「そんなわけさせるものですか。私は消えたくなんかないの」
不意に、目の前の暗闇からフォークやらスプーンやらが飛んできた。
この幽霊、なかなかのものらしい。
が、たいした速度でもないので、俺は軽く3歩ほど右によけた。

・・・待て。
何かが引っかかる。

しばらく、考え込む。
「あら、どうしたのかしら。もう私を追い払う気がなくなったのかしら?」
そんなことを言われた。
だが、俺の耳には入っていなかった。

そして、答えが出た。

「あんたって、腐ってるだろ?」
そんな無礼な言葉が、俺の口を突いて出た。
「な、急になによ!どこが腐ってるっていうの!?」
口ではそうは言ってるが、明らかに動揺しているようだ。
追撃開始。
「あんた、幽霊に魂を売ったんだろ?」
「あ・・・うう・・・」
図星らしかった。
何も言えない様だ。
「アンタはどうせ、死から逃げたくて必死にこの世にしがみついてるだけなんだな。
それなら、アンタは幽霊でも人間でもない。ただのカスだな」
ちょっと言い過ぎかもしれないが、このぐらいがちょうどいいかもしれない。
とにかく、これは俺の本音だ。
幽霊になる条件は、詳しく言うともう一つある。
死を、受け入れることだ。
まあ死を受け入れた人間に幽霊は目をつけることが多いのだが。
「死に立ち向かうことも、死を受け入れることもない奴は存在する意味なんて」
俺は、目の前のカスにとどめを刺す。
「ゼロだ」
そう言い切った瞬間、そいつの体は崩壊を始めた。
輪郭がどんどんぼやけていく。
「さて、俺が成仏させてやるんだ」
俺は、精一杯の哀れみの言葉をかけてやる。
「光栄に思え」


「終わったんですか?」
扉の向こうから声がする。
隙間から、あの少女が覗いていた。
どうやら見ていたらしい。
「ああ、終わったよ」
俺は、さっきと変わらない陽気な声で言う。
「ありがとうございます。でも・・・」
どうやら何か言いたげな様子だ。
「でも、何なのかな?」
「なんで、あなたはそんなに幽霊に詳しいのですか?」

何で、聞いてくるかな。
どんだけ鋭いお嬢さんなんだよ。

「強いて言うなら、俺も幽霊だからだ」
俺は、吐き捨てるように言った。
「え、それってどういう・・・」
「もういい、俺は帰る」
俺は、少女を制して言った。
怒っているわけではない、虚しいだけだ。
誰に言ったって、わかってくれるはずがない。
「じゃあ、帰るね。怒鳴ってすまない」
今にも泣き出しそうな少女に向かって言った。
「君は絶対に、俺やあいつみたいになるなよ」

たぶんあの幽霊は寂しかったのだろう。
誰にも気づかれることもなく存在することが。
だから、叫んだのだろう。
己の存在を、とても無様な手段で。

とても、綺麗な満月の夜だった。